掲載2010年1月31日
鳥インフルエンザ?またペンタゴンの悪ふざけか?
Is Avian Flu another Pentagon Hoax?


サダム・フセインが核兵器を貯蔵していることを証明する「決定的証拠」をブッシュ政権が握っていない事実を意図的に隠そうとした嘘と情報隠匿の疑いで、副大統領首席補佐官ルイス・リビー(Scooter Libby)が告訴されたかと思えば、新たに言語道断な犯罪の可能性が高いスキャンダルが浮上している。
あらゆる科学的な慎重さと通常の公衆衛生の手順に反した無責任な公衆衛生当局(WHOに派遣されている米国の職員やCDC)によって、世界の人々は恐怖の精神撹乱に煽り立てられている。彼らは揃いも揃って、悪性のウィルス株が鳥から感染し、主にベトナムやアジアの拠点から全人類へとパンデミック規模で拡大する危険が急迫していると警告している。世界で1,800万人が死亡したと言われる1918年のパンデミックが例として頻繁に引き合いに出され、我々を待ち構えているのはそんな惨事「かもしれない」と言われている。
11月1日、いみじくもハロウィーンの翌日に、ブッシュ大統領は、メリーランド州ベテスダのNIH(国立衛生研究所)を訪問し、鳥インフルエンザか他の何かが原因か分からないが、来るインフルエンザ流行にどのように対処するか政府の戦略を発表する予定になっている。この計画は一年前から用意されてきた。10月28日、拡大する鳥インフルエンザ・パニックに対処するため、上院は80億ドルの緊急資金法案を可決した。HHS(保健福祉省)長官のマイク・リービットは、上院の法案について議論している最中に、「現在のH5N1ウィルスがパンデミックにならなかったとしたら、いずれ他のウィルスでこの国はパンデミックになるはず」とつい報道陣に本音を漏らしている。そして、納税者の何十億ドルという金が、一握りの巨大製薬会社に向かうことになる。その最大の利益を得るポジションにいるのが、バーゼルのスイス・米国製薬大手のロシュ・ホールディングスだ。
通常の季節性インフルエンザの症状を軽減し、鳥インフルエンザについても「おそらく」症状を軽減するかもしれないと言われている唯一の薬が、タミフルという薬品である。現在、スイスの巨大製薬会社ロシュは、タミフル製造の権利を単独で所有している。マスコミがパニックにしたせいで、現在ロシュの受注台帳は満杯状態である。ロシュは先日、排他的な特許権を解除して、他の製薬会社もタミフルを製造できるように求めた米国議会の要請を拒否した。タミフルは複雑すぎて他の会社がすぐに製造することは事実上難しいという嘘っぽい言い訳だった。
しかし、利害関係の核心は、タミフルを開発したカリフォルニアの会社にある。その会社が、ロシュに販売権を与えている。
「ラミフル」
タミフルは、1996年にカリフォルニアのバイオ技術企業ギリアドサイエンス社が、開発・特許取得している。ギリアド(GILD)は、NASDAQに上場する株式会社でるが、現在のタミフル騒ぎでは、目立たないようにしている。その理由は、同社に結び付いた人物のせいかもしれない。国防長官になる前の1997年、ドナルド・H・ラムズフェルドは、ギリアドサイエンスの取締役会長に任命されている。国防長官になった2001年前半まで会長だった。同社の1997年1月3日の報道発表によると、ラムズフェルドは1988年からギリアド社の役員をしている。
未確認の情報だが、ラムズフェルドは国防長官のときにも、元の会社ギリアドサイエンスの株式を追加購入している。1,800万ドル相当で、現在、最大株主か、少なくとも大株主の一人になっている。
怪しげな諜報でイラク戦争を正当化するのを手助けしたと言われている国防長官が、今度は、やはり彼の政府が全力を挙げて宣伝しているインフルエンザのパニックで巨額の金儲けをする態勢にある。ペンタゴンでダグラス・ファイス(Douglas Feith)の特殊作戦室を引き継いだ者が、現在の鳥インフルエンザのパニックを演出するバイオ戦争の作戦でも練っていたのか、確認してみると良いかもしれない。きっと意欲的な議会の委員会が、ラムズフェルド長官に利害の相反の可能性があることを全面調査してくれるだろう。
パニックに陥った世界の人々が、鳥インフルエンザ(といわれているもの)に治療効果もない薬を買いに殺到すれば、ラムズフェルドはロイヤルティで財産を築く立場にある。このパターンは、ディック・チェニー副大統領が元CEOをしていたハリバートン社の厚かましい汚職を思わせるものがある。これまでにチェニーの会社は、イラク他で巨額の建設契約を米国から受注している。チェニーの親友で政治仲間が、国防長官兼鳥インフル受益者であるラムズフェルドなのは奇遇である。誰かが「現代米国の腐敗特別利権政治の法則」と名付けた「利益は集中・コストは分散」の原則の一例である。ブッシュ大統領は、米国政府に20億ドル分のギリアドサイエンスのタミフルを買うよう命令した。
GMOチキン開発の不審な動き
しかし、タミフルの利害相反は、鳥インフルエンザの話の氷山の一角に過ぎないだろう。イギリスでは、鳥インフルエンザ・ウィルスに「耐性」を持つ鶏を遺伝子工学で開発するという、高レベルなバイオ研究が実施されている。おそらく米国でも実施されているだろう。
イギリスの科学者たちは、極東で鶏を破滅に追い込んでいる致死的なH5N1ウィルスに耐性のある鳥を製造するため、鶏を遺伝子操作していると伝えられている。ケンブリッジ大学の分子ウィルス学教授のローレンス・タイリー(Laurence Tiley)とスコットランドのロスリン研究所のヘレン・サング(Helen Sang)は、トランスジェニック(遺伝子移植)チキンの開発に携わっている。鶏卵に小さな遺伝物質を挿入し、H5N1に耐性のある鶏を作るというのだ。
10月29日、タイリーは、ロンドンのタイムズ紙に「認可さえ取得できれば、4~5年もあれば世界の全部の鶏を入れ替える数の繁殖ができる」と語っている。この危なっかしい仕事の本当の疑問は、どのGMO巨大企業がGMOチキンの研究開発に資金提供しているのか、誰が成果物を管理するのかだ。鳥インフルエンザの物語は、徐々にではあるが一つの姿が浮かび上がりつつある。今のところ、それはまったく美しくない姿だ。
(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)

原文の紹介
Is Avian Flu another Pentagon Hoax?
F.William Engdahl ホームページ http://www.engdahl.oilgeopolitics.net/









